朝イチでマンハッタンを車で出発、途中猛吹雪に遭い除雪車まで出てくる天候、ほんとに辿りつけるのか?不安な状態でしたがペンシルバニアに近づくに従い天候も落ち着いて来て夜には無事宿に到着。一泊してから次の朝イチの"in-depth tour"(要予約)へ参加、2時間のコースで全ての部屋に入れ写真撮影可能のツアーです。
昨日の雪の影響もあり、この日の滝の水量は大サービス中で怖いくらいの勢いで流れてました。リビングから直接川に出られるようになっているのですがその階段の結構上まで水位が上がってたそうです。
シーズンオフなので周りの景色は少し寂しげだったのですが、この別荘で過ごす季節ごとの周りの環境の変化はきっと本物の贅沢なのだろうと感じられる環境で、冬は滝が凍るそうですがそれも見てみたかった。
1935年完成の落水荘は当時の生活をそのまま保存していて、什器や本などもほぼそのままの状態で保存されています。調べてみると日本では二・二六事件が起こっている頃、その時代にこの建築は衝撃だったろうなぁー、今見ても充分素晴らしいです。
ただ想像していたよりも建築全体の室内スケールは小さくリビングなどの天井も低く背伸びすれば手が届く高さです。体格のいい人だと圧迫感を感じてしまうのかもしれませんが、リビングの暖炉側の天井には大きな間接照明が組み込まれていて、それをあまり感じさせない調和した空間になっています。
またそれとは対照的に滝側の空間は全面が窓と天窓、テラスになっており、自然光がふんだんに入るようになっていて、さらに天窓の下からは川へ直接出れる階段になっています。暖炉側は窓も少なく光もあまり差し込まない"夜の空間"、滝側は自然光が降り注ぐ"昼の空間"と二つの空間が抑制と解放のバランスを取り合い共存しているように感じました。
その他の部屋も地下室からバスルームまで全てを廻りましたが、全体の印象としてはやはりコンパクト、大げさに言うと洞窟の隠れ家という感じで、上記のリビング以外の部屋はどれも小振りな部屋でメインハウスは4ベッドルームが小さな階段を上り下りして複雑に連なっている印象、各自プライベートを保ちながらも繋がっている程よい距離感です。
家具のほとんどはオリジナルの造り付け、そしてどの部屋にもあるキャビネットは一本の木からできていて木目が揃っている贅沢さ。飾られている絵画の中にもピカソや浮世絵が多数ありました。
FLWは日本浮世絵協会の名簿にも名前がある程の蒐集家だったそうです。
そしてメインハウスから渡り廊下を上がってゲストハウスへ移動、ゲストハウスの方が後からの増築でメインハウスより天井が高めの造りになっていて、リビングと1ベッドルームでテラスにはプールもあり、その他の部屋は現在事務所として使われています。普通のツアーではここも入れないそうです。
落水荘の土台は自然の岩がそのまま使われていて、外から見ると下の写真のように建物に食い込み地下室でも同じ一枚岩を剥き出しで見る事ができます。
全体を見終わってから気がついたのですが、この落水荘、エントランスがさりげないというか、建物に対してものすごく地味で一見勝手口かと思う程。それもある意味印象的でした。
そして、一通り部屋を見終わってから、お決まりのビューポイントで記念撮影。
できればまた違った季節に訪れたいと思う素晴らしい建築でした。というか一度泊まってみたい、無理なのはわかってますが...。
同行させてもらったReeder夫妻(Alex & Chiaki)に感謝。
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